変わらないということ

以前の職場に顔を出しに行った。
以前の通勤路を通って。

道沿いの店がいろいろ変わっていた。
おー。こんなところにこんなモノが。
あれー?あの店潰れたの?
とか。

職場に着く。
ここはずーっと続いてる。
いろいろと配置が変わっていたり、
でもその向こうに見知った顔の人がいたり。

ああ。ここのにおいって好きなんだよねー。
なんだろう。
たくさんの新しい商品が出すにおい。
無機質なんだけど、安心できる。

そして元同僚たちに会ってダラダラと話す。笑う。

「変わらんねー」と言ってくれる。
ありがとねー。お世辞でもうれしいよ。
あれから7年半くらい経つけどね。

みんなも変わらない。この会社も変わらない。
おもしろいくらい。
あの部長はまだ現役だとか、
わたしの在職中ボケてんじゃねーの?
と言っていた会長がまだやる気まんまんだとか。

変わらないなあ。変わらないねえ。

帰り道も、あの頃通っていた道を選ぶ。
そうだ。この川沿いの道。
信号がなくて、山と空と海に向かってただだらだらと伸びてる道。
好きだったんだ。この道。

ああ。ああ。

変わらないものって安心する。
心の底の底の底の底から安心する。

*   *   *

世間と関わっていると変わることを強要される。
それが当然なんだけど。

わたしは「変わる」ということが苦手だ。
自発的に変わろうとせず、流れにまかせてやってきた。
なし崩し的に生きてきてちょっと後悔したくなるような今に至っているわけだが。
今も変わることを鼻先に突きつけられていて胃がいたい。

でも今日変わらないものに触れた。
感謝したくなるいとおしさ。

変わらないことを高らかに歌ったこの曲は大好き。