あの場所

おかんの実家にいってきた。
こどもの頃からいつも行っていた場所。変わらない場所。
ヒグラシの声と、鳥の声が聞こえる。
目を閉じていると気持ちがすーーーーっと遠くに連れ去られていく。

ここに来るとわたしは相変わらずこどものままだ。

1年半前から飼われている犬は超気さく。
「遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んでえええええ!」と飛びついてくる。
到着30秒後にはわたしの服は泥だらけで毛だらけになった。
ああ。バカ。でもバカな子ほどかわいい。
撫でて撫でて撫でまわしてやった。


おやつを食べております。前足でちゃんと持ってるんだよ。

メダカもいる。

花も咲いている。

ぶらぶらしながら思い出した。
このあたりに、桔梗が自生しているところがあったはず。
とても悲しいできごとがあった冬。
その次の夏に、お弔いのためにその桔梗を一本だけ摘んだ。
中2の夏だったかな。

ぼんやりと記憶だけを頼りに、あぜ道をかき分けて行く。
するとそこに、咲いていた。

たぶんあの時よりも広い範囲に、野生の桔梗が咲いていた。

いろんな気持ちが押し寄せてきた。

変わらない場所というのは、本当に本当にありがたい。